7つボタンの第1期生、横須賀から新たな一歩 幹部候補海曹36名が修業

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令和8年8月24日、神奈川県横須賀市の横須賀教育隊で、「第1期幹部候補海曹課程」の修業式が行われました。

海上自衛隊伝統の「7つボタン」の制服で式に臨んだのは、第1期生となる36名です。今年3月から約5カ月にわたり、将来の幹部自衛官を目指して必要な知識や技能、規律を学び、この日、課程を修了しました。

第1期生へ託された期待

海上自衛隊 横須賀教育隊司令 森山進 1等海佐は、約5カ月の教育を終えた学生たちを前に、これまでの努力をたたえました。

「皆さんは今年3月から約5ヶ月の間、不自由な団体生活や厳しい訓練によく耐え、力を合わせて乗り越えてきました。皆さんの努力に心から敬意を表します」

さらに、第1期生として教育を受けた36名に対し、次のように述べました。

「皆さんは団体生活や訓練を通じて、チームの一員としてルールを守り、仲間を尊重することの大切さを理解し、それらを身につけることができました。また幹部候補海曹の第1期生として、海上自衛隊の新たな道を切り拓くべく、率先垂範を実践することもできました。自信と誇りを持って部隊で勤務してもらいたいと思います」

また、ここまで支えてきた家族や友人、地域の人々への感謝を忘れないよう呼びかけました 。

続いて訓示した横須賀地方総監 八木浩二海将は、各部隊へ向かう36名に二つの要望を伝えました。

一つ目は、日々の勤務に誠実に取り組み、専門分野の知識や技能を着実に身につけることです。

「第1は、本課程で学んだことを基盤とし、日々の勤務に誠実に取り組むことである。まずは日々誠実に勤務し、自身の専門分野の知識・技能の習得に真摯に努力することを要望する。それは将来、幹部自衛官になるための基盤ともなる。諸官が士長、そして曹として勤務する期間は決して長くはない。まずは各階級でなすべき日々の勤務に誠実に取り組み、基本的な知識・技能を習得することを期待する」

そして二つ目に挙げたのが、同期との絆を大切にすることでした。

「第2に、この横須賀教育隊において結んだ同期の絆を、修業後も大切にしてもらいたい。学生生活を通じて支え合い、同じ目標に向かって苦楽を共にした同期生の絆は、生涯を通じて何ものにも代えがたい財産である」

さらに八木海将は、各部隊で経験を積んだ先に、幹部候補生として江田島へ進む道が待っていることにも触れました。

「特に諸官は修業後、各部隊において経験を積んだ後、次は幹部候補生として江田島に行くことになる。伝統ある7つボタンの制服を着用した第1期生としての同期の絆を今後も大切にし、お互い助け合いながら任務に邁進してもらいたい」

第1期生として横須賀を巣立つ36名は、まずそれぞれの部隊で海上自衛官としての経験を積みます。そして、その先にある幹部自衛官への道を歩んでいくことになります。

修業式の後、第11分隊の解散式へ

修業式と見送りの行事を終えた学生たちは、宿舎へ戻りました 。
そこで行われたのが、第11分隊の解散式です 。

約5カ月にわたり36名を指導してきた班長や石原分隊長が、最後に学生たちの前に立ちました 。班長たちがまず伝えたのは、これから部隊で勤務していく学生たちの心身を気遣う言葉でした。

「仕事も大事だけど、みんなの心も大事です。無理はするな」

「君たちは第1期生としてこれから道を切り開いていく。今までなかった航路を海上自衛隊でいく。君たちの後には第2期生、3期生と後輩が続いていく。君たちが道を開き、良き伝統を残し、この素晴らしい課程を後世に伝えていってもらいたい」

「先にはいろんな苦しいことで辛いこと大変なことが待っている。そういった時は、同期や家族を頼って、絶対に生き残ってほしい。」

その言葉を聞き、学生たちの目から涙がこぼれます 。
さらに、「同期を忘れるな、ここでの生活を忘れるな。そして自分の選んだ道に誇りを持て」と呼びかけました 。

仕事で苦しいことがあったとき、一人で抱え込まず、同期や家族を頼ること。そして「絶対に生き残る」こと。長く学生たちを指導してきた班長や分隊長が、最後に伝えた言葉でした。

式典後に語った分隊長の本音――「手作りの教育」と期待以上の成長

全ての行事が幕を閉じ、学生たちが部屋での面会に臨む中、インタビューに応じた横須賀教育隊 11分隊 石原分隊長の表情には、大仕事を終えた深い安堵の色がにじんでいました 。

安堵です。日本に、海上自衛官として一歩踏み出せるぐらい、しっかり成長してくれたんだな、とほっとしています」

新設された「第1期課程」を任されるということは、教官やスタッフにとっても暗中模索の連続でした 。前例がない中、すべてを「手作り」の状態で手探りで進めてきた指導の日々 。
「私たちの指導がちゃんと行き届いていたのかどうか、内心では不安もありました」と本音を漏らします 。

しかし、その不安を吹き飛ばしたのは学生たち自身の高い志でした。

「当初、今年の学生たちがどれくらいついてきてくれるかと思っていましたが、彼らの意識は非常に高かった」と振り返ります 。 そして何より、彼らが示した成長は、教官たちの予想を遥かに超えるものでした。
「我々が期待していた以上に、本当に大きく成長してくれました」
と、愛おしそうに教え子たちの成長を称えました 。

「彼らはこの後、海曹として、約4年間という少し長い下積みの期間に入ります。ここをしっかりと固めてもらい、自衛官として部隊で真に価値を出せるように活躍してほしいと期待しています」

厳格な教官として見守り続けた5ヶ月間。その奥にあったのは、教え子たちが誰一人折れることなく、無事に任務を全うしてほしいという、祈りにも似た親心でした。

4年後、今度は江田島で

第11分隊の解散式を終え、36名は学生としての生活を終えました。
同じ宿舎で生活し、同じ訓練を受けてきた同期も、ここからは別々の場所で勤務することになります。しかし、今回の別れが最後ではありません。
各部隊で経験を積んだ後、36名は幹部候補生として広島県江田島市の幹部候補生学校へ進むことになります 。およそ4年後、再び同期が集まる機会が待っています 。

横須賀教育隊でともに過ごした5カ月と同期とのつながりは、今後の勤務を支えるものになるでしょう。
第1期生36名の歩みは、これから始まります。

取材日:2026/8/24

海上自衛隊横須賀教育隊
公式HP

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