
向こうには、何が待っているのでしょうか。
ちょっぴり怖いけれど、先へ進んでみたい。小さな冒険者たちの、特別な一日が始まりました。
横須賀市田浦にある「Jキッズマリンこのはな保育園」。
2026年10月30日、園児26名のうち、6名がハロウィンアドベンチャーに出発しました。
冒険の舞台は、海上自衛隊 第2術科学校です。
普段はなかなか入ることのできない場所で、子どもたちを待っていたのは、ちょっぴりスリリングで、夢いっぱいのハロウィンの世界でした。
真っ暗な通路の先に待っていたのは


階段を上がった先に現れたのは、カーテンで仕切られた部屋です。
その向こうに足を踏み入れると、通路は真っ暗。

暗闇の中には、不気味に浮かび上がるジャック・オー・ランタンの姿がありました。
「こわいねー」
「大丈夫だよ」
声をかけながら、少しずつ前へ進んでいきます。小さな胸は、きっとドキドキしていたことでしょう。
そして、たどり着いたのは第2術科学校長室です。そこには、先ほどまでの暗闇とはまるで違う、色とりどりの風船に彩られた世界が広がっていました。

まるで秘密の扉を開けた先に、夢のようなパーティー会場が待っていたかのようです。
緊張していた子どもたちの表情も、一瞬で笑顔に変わりました。
「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)!」
元気な声が校長室に響きます。

出迎えたのは、海上自衛隊第2術科学校 藤井健一 学校長です。子どもたち一人ひとりに、優しくお菓子を手渡していきました。
思い思いの仮装に身を包んだ園児たちの姿は、可愛くてキュンキュンします。

手作りのお菓子袋にはこれからどんなお菓子が入るのでしょうか。小さな袋には、ワクワクがいっぱい詰まっていました。
「言えるかな」小さな勇気が大きな冒険に

冒険は、まだまだ終わりません。次の場所へ、また次の場所へ。
学校内を探検していくと、そこには仮装したガイコツやおばけたちが待っていました。


初めて出会う大人たちに、見慣れない景色。
いつもとは違う雰囲気に、子どもたちの表情が少しこわばる場面もありました。

そんな子どもたちに、藤井学校長が優しく声をかけます。
「こわくないよ」
「言えるかなー」
勇気を振り絞って、一歩前へ。

そして、お菓子を受け取ることができると、
「がんばったね」
温かな言葉が贈られました。
最初は怖く感じたおばけも、実は優しい人たち。隊員たちも笑顔で子どもたちを迎えてくれます。
一つの部屋を訪れるたびに、一つの勇気が生まれ、一つの笑顔が増えていきました。
気がつけば、手作りのお菓子袋はお菓子でいっぱいに。

子どもたちが手に入れたのは、知らない場所に足を踏み入れる勇気。
初めて会う人に声をかける勇気。怖い気持ちを乗り越えた先にある、うれしさ。
小さな冒険者たちは、たくさんの宝物を見つけていました。

すべての場所を回り終え、冒険を終えた6人は、ほかのお友達と再会しました。
きっと、話したいことがいっぱいでしょう。
「海軍には夢があった」

今回のハロウィンには、藤井学校長の特別な思いが込められていました。
その原点となったのは、以前、聴講したC・W・ニコルさんの講話です。
ニコルさんの養父は、スコットランド出身のイギリス海軍士官でした。その影響もあり、子どもの頃から海軍のさまざまなイベントに参加し、楽しい思い出をつくったそうです。
そして、講話の中で、こんな言葉を語ったといいます。
「海軍には夢があった」

子どもの頃に出会った景色や人々、胸を躍らせた体験は、大人になっても心の中に残り続けます。藤井学校長は、その話を心にとどめていました。
今の子どもたちにも、いつか思い出したときに笑顔になれるような、夢のある体験を届けたい。海上自衛隊のイベントの時間が、子どもたちの心に残る原風景になってほしい。
そんな思いで、ハロウィンイベントを準備したそうです。
ハロウィンイベントを彩った飾り付けなどの装飾は、公費を使わず、藤井学校長が自費で用意したものだそう。そして、隊員さんみんなで飾り付けを行いました。
子どもたちに配られたお菓子は、食物アレルギーへの配慮から、保育園が用意したものを使用しました。楽しいだけでなく、子どもたちが安心して参加できるように、一つひとつの準備にも、心遣いが込められていました。
いつか思い出す、あの日の優しいおばけたち


子どもたちが大人になったとき、今回の冒険をどんなふうに思い出すのでしょうか。
暗い通路で見つけたジャック・オー・ランタン。
風船でいっぱいだった校長室。
ちょっぴり怖かったガイコツやおばけ。
勇気を出して伝えた「トリック・オア・トリート」。
そして、優しく声をかけてくれた海上自衛隊の隊員さん。この日感じたワクワクや、優しくしてもらった温かさは、心に残ることでしょう。
楽しい思い出が、いつの日か海や船、そして海上自衛隊への憧れにつながることもあるでしょう。一人の子どもにとっては、将来の夢を見つけるきっかけになるかもしれません。

小さな冒険が、未来へと続く大きな夢の入り口になる。
藤井学校長が子どもたちに届けたかったのは、そんなかけがえのない時間だったのではないでしょうか。
次はクリスマス。子どもたちのワクワクは続きます

Jキッズマリンこのはな保育園では、自衛隊関係者のお子さんだけでなく、一般のご家庭のお子さんも受け入れています。
海上自衛隊とのつながりを生かした、ここならではの特別な体験ができることも、園生活の大きな魅力の一つです。
さらに、クリスマスにもイベントが予定されているそう。
今度はどんな景色が待っているのでしょうか。
どんな人たちと出会い、どんな笑顔が生まれるのでしょうか。
子どもたちの毎日は、まだ知らない世界への小さな冒険の連続です。
今日のドキドキが、明日の自信に。
そして、いつか未来の夢に。
Happy Halloween!
取材日:2026/10/30



