2026年6月15日(月)、オランダ海軍フリゲート艦「デ・ロイテル」(HNLMS De Ruyter F804)が東京港にある東京国際クルーズターミナルに入港しました。(艦長:ロジャー・デ・ウイット)
2020年11月、オランダ政府が「インド太平洋ガイドライン」を発表後、このガイドラインに基づき、重要地域へオランダ海軍を派遣することは今回で3度目。2024年のオランダ海軍フリゲート艦「トロンプ」に続き、2年ぶりの来日です。
当日の取材写真をまとめました。

















オランダ国防省や海軍が管轄する公式ウェブサイト(HP)は以下になります。
- オランダ国防省 公式サイト(防衛装備情報):
Defensie.nl – De Zeven Provinciënklasse
(※オランダ軍全体の装備品ページにて、同型艦の仕様や任務が公開されています) - オランダ政府外交関連(日本窓口):
駐日オランダ王国大使館 公式情報ページ
◾️指揮フリゲート(LCF)
オランダ王立海軍は、デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級(De Zeven Provinciënklasse)の空気防御・指揮フリゲート(LCF)を4隻保有しています。これらの艦艇は、海および空からのあらゆる敵の脅威(航空機およびミサイル)から、艦隊全体を保護する能力を備えています。
さらに、これらの艦艇はオランダ海軍の展開可能な運用司令部スタッフである「オランダ海上部隊(NLMARFOR)」を収容し、ここから大規模な(海上)作戦を指揮・統制できるように設計されています。主要諸元建造元: コニンクレッカ・スケルデ・フループ(フリシンゲン)
排水量: 6,050 トン
全長: 144 メートル
全幅: 17 メートル
喫水: 7 メートル
最大速力: 30 ノット
推進システム(CODOG方式):
Wärtsilä(ヴァルチラ)16 V26 ディーゼルエンジン ×2基(計 13,600馬力)
Rolls Royce(ロールス・ロイス)Spey SM 1A ガスタービン ×2基(計 52,300馬力)
乗員: 174名(司令部スタッフ搭乗時は202名)
レーダー: 近代化された SMART-L 早期警戒(ELR)レーダー
兵装:
Oto Breda(オト・ブレダ)127mm単装速射砲
Mk 41 垂直発射システム(VLS)(RIM-162 ESSM および SM-2 Block IIIA 用)
ハープーン(Harpoon)対艦ミサイル(AGM-84)
ゴールキーパー(Goalkeeper)近接武器システム(CIWS)
Mk 46 魚雷発射管
NH90 海上作戦ヘリコプター ×1機【兵装(詳細)】
LCFは、艦隊全体を守るための広範な武器システムを備えています。127mm主砲: 前部甲板の自動装填式主砲は、最大30km離れた敵艦艇や(装甲化された)地上目標に対して使用可能です。
Mk 41 VLS(40セル): 主砲の後方に配置。
ESSM(発展型シースパロー): レーダー誘導により、中距離の航空機や音速を超える超音速ミサイルを迎撃します。
SM-2: 本来は中距離防空ミサイルですが、対艦攻撃にも転用可能です。
ハープーン対艦ミサイル: 艦中央部に8基の傾斜ローンチャーを装備。「撃ちっぱなし(Fire and forget)」能力を持ち、事前に設定されたエリアまで飛行後、自らのレーダーを起動して自律的に標的を攻撃します。
Mk 46 魚雷: 敵の水上艦および潜水艦の双方を撃破可能です。【SMART-L レーダー(弾道ミサイル追跡能力)】
これらの兵器を運用する要となるのが、近代化された SMART-L Extended Long Range(ELR)レーダー です。この極めて先進的な長距離レーダーは、「水平線の向こう側」数百キロメートル先まで見通し、同時に複数の目標を追跡できます。
特筆すべきは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の探知・追跡能力です。最高時速20,000kmに達し、大気圏外の高高度を飛行する弾道ミサイルに対し、オランダ海軍自身は迎撃用のSM-3ミサイルを持たないものの、「大気圏外で早期に探知・追跡し、その詳細なレーダーデータを(迎撃ミサイルを持つ)同盟国(米国など)にリアルタイムで伝送する」という役割を担っています。この能力を持つのは、欧州ではオランダ海軍のみです。
また、このデータ伝送中であっても、LCFは自艦や艦隊に迫る他の航空脅威(巡航ミサイル等)を自前の兵器で同時に迎撃・防御する能力(同時並行対処能力)を備えています。
【ステルス技術と自動化】
レーダーに捕捉されにくくするため、外観は直線と傾斜角を多用した、非常にソリッドで角張ったステルス形状をしています。また、高度な自動化が進められているため、これほどの巨艦でありながらわずか174名の乗員で運用可能です。 ※本設計は、スペイン(F100)およびドイツ(F124)との共同プロジェクトの流れを汲んでいます。
同型艦リスト(デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級)Zr.Ms. De Zeven Provinciën (F802) – 2002年就役
Zr.Ms. Tromp (F803) – 2003年就役
Zr.Ms. De Ruyter (F804) – 2004年就役
Zr.Ms. Evertsen (F805) – 2005年就役【運用実績(近年の主な活動)】
LCFは、北大西洋条約機構(NATO)の常設第一/第二海洋グループ(SNMG1 / SNMG2)の旗艦や中核として頻繁に派遣されています。2018〜2019年: オランダがSNMG2の指揮権を掌握。2018年後半は「デ・ロイテル」が、2019年前半は「エヴァーツェン」が旗艦を務めました。
2020年: 「デ・ロイテル」がホルムズ海峡での安全確保ミッション(EMASoH)に派遣。
2021年: 「エヴァーツェン」が英国の空母打撃群(クイーン・エリザベス空母打撃群)の一員として、7ヶ月間に及ぶ極東(アジア)への遠征航海を実施。同年、「デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン」が演習にて、欧州の艦艇として初めて「自艦防空を維持しつつ大気圏外の弾道ミサイルを探知・追跡する」実証に成功しました。
2022年: オランダがSNMG1の指揮を執り、「デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン」および「トロンプ」が交代で旗艦を務めました。
出典:オランダ国防省 公式サイト(防衛装備情報)



