防衛大学校卒業式 高市首相・小泉防衛大臣が贈った激励 高く舞った制帽、放たれた情熱

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横須賀市小原台にある防衛大学校。
令和8年3月14日、今年も若者たちが新たな任務へと旅立つ日を迎えました。
整然と並ぶ制服姿の学生たち。4年間の厳しい訓練と学びを乗り越えた彼らは、この日、自衛官としての第一歩を踏み出します。

静寂と、新たな門出

式典には、来賓、関係者、そして遠方から駆けつけた保護者など、多くの参列者が詰めかけました。記念講堂を埋め尽くす人々の熱気と、張り詰めた緊張感。その視線の先には、4年間の厳しい鍛錬を終え、逞しくなった卒業生たちの姿がありました。

本科の卒業生は留学生を除き366人で、うち女性は46人。この日、防衛大学校での学生生活を終え、幹部自衛官として陸・海・空それぞれの現場へと巣立ちます。
特に保護者の方々にとって、この日は格別な思いが込み上げる瞬間です。親元を離れ、横須賀の地で切磋琢磨してきた我が子の制服姿。その凛とした佇まいに、あちこちで目頭を熱くする光景が見られました。

不透明な時代に、「柔軟な発想」と「自己研鑽」を|高市首相訓示

撮影:AKI HATA

高市早苗首相は、自衛隊の最高指揮官として訓示し、4年間の教育訓練を終えた卒業生たちに向けて「鋭気に満ちた皆さんの姿に接し、大変頼もしく、心強く思う」と語りかけました。
そのうえで、日本を取り巻く安全保障環境について「戦後最も厳しく複雑な状況にある」
と指摘。ロシア、中国、北朝鮮などをめぐる不透明な情勢や、急速に進む技術革新の時代において、過去の常識にとらわれない「柔軟な発想」と「自己研鑽」の重要性を強調しました。訓示の最後には、「国民の信頼と期待に応える自衛隊であり続けてほしい」と激励。卒業生たちは真剣な表情でその言葉を受け止めていました。
高市首相が卒業生たちに向け続ける温かなまなざしも印象に残りました。
令和7年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示は全文はこちら

「君がいるから大丈夫だ」と言われるリーダーへ

撮影:AKI HATA

続いて挨拶に立ったのは、小泉進次郎防衛大臣です。
かつて大空に夢を馳せたブルーインパルスの隊長が、大臣に告げた言葉、「私に任せてください」。その一言が持つ圧倒的な安心感こそが、防大で培われたリーダーシップの真髄です。大臣は、激動の時代に立ち向かう卒業生たちに、「自分がいるから大丈夫だ」と胸を張れる、そんな「変革の主役」になってほしいと願いを託しました。
「防衛力の中核は、人である」
大臣が誓ったのは、単なる装備の強化ではなく、隊員一人ひとりが誇りを持てる「処遇の抜本的な改善」でした。極限の災害現場で若き士官を支えたベテラン隊員の信頼、そして横須賀の街で見かけた学生たちの明るい笑顔。それら「人の体温」こそが組織を動かす原動力。
「君たちが選んだこの道が、日本で最も人を大切にする場所になるよう、私は全力を尽くす」
若き防人たちの門出。その背中を押したのは、未来の自衛隊を「誇りと慈しみに満ちた組織」へと塗り替えるという、大臣自身の固い決意のように感じられました。

圧巻の「帽子投げ」、舞った制帽と魂の声

撮影:AKI HATA

式典のクライマックスは、防大の象徴ともいえる伝統の瞬間「帽子投げ」です。静まり返った講堂、そして号令の瞬間に、腹の底から絞り出したような叫び。それは4年間の人知れぬ涙や葛藤、そして共に乗り越えた仲間への想いがすべて凝縮された、魂の声でした。爆発的な達成感が、野太い叫びとなって響きます。
同時に講堂いっぱいに歓声と拍手が響きます。4年間の青春を空へ放つような象徴的な瞬間でした。

自衛官としての宣誓と家族の想い

式の終盤、卒業生たちは制服に着替えて整列、自衛官としての宣誓を胸に刻みます。
陸・海・空、それぞれの制服に身を包んだ卒業生たちは一層力強く、頼もしく見えました。
以前、ご子息が防衛大学校を卒業し、現在は自衛官として任務に当たっているという一人の母親は、少し言葉を選びながら、次のように語ってくれました。
「自衛官という仕事は国にとって重要な仕事ですし、息子のことはいつも応援しています。ただ、今の国際情勢を考えると、もし前線に行かなければならない状況になったらと思うと、親としては複雑な気持ちもあります。有事が起きないよう、平和な世の中であってほしいと願っています」
理解と不安、その両方を抱えながら、家族もまた新しい門出と自衛官としての人生を見守っています。

練成の日々を刻んだ陸上競技場での観閲式

撮影:AKI HATA

式典の余韻が残るなか、舞台は校内の陸上競技場へと移ります。ここは4年間、訓練を重ねてきた場所でもあります。
広大な敷地に、学生たちが整然と隊列を組み、地を刻む足音が規則正しく響き渡ります。いよいよ、観閲行進の始まりです。

白い手袋の動きと濃紺の制服のコントラストが美しい

学生たちによる行進は、一糸乱れぬ規律と美しさが凝縮された瞬間。
特に、深い濃紺の制服に映える真っ白な手袋の動きは、遠目から見てもその精度が際立ちます。大きく振られる腕が描く白い軌跡が、横一列に完璧に揃う様子は、積み重ねてきた厳しい訓練の賜物です。
晴れ舞台で見せるその姿は、静と動のコントラストが鮮やかで、気品と力強さに満ちています。それを見つめる卒業生たちの表情には、かつての自分を重ね合わせるような、深い感慨が滲み出ていました。

横須賀の空の下で|街の記憶と、受け継がれる防人の志

防衛大学校のシンボル、時計塔

学生たちはこの場所で厳しい訓練と学業に励む一方、週末には市内に足を運び、地域の風景の中で4年間を過ごしてきました。
飲食店で見かける制服姿の学生や、街を歩く若い自衛官の卵たち。横須賀の街にとって、防大生の存在はどこか日常の一部でもあります。
この日、講堂で舞い上がった制帽。
その帽子の向こうには、横須賀で過ごした4年間の時間もまた、静かに刻まれているのかもしれません。

筆者の取材の記憶

筆者は2023年11月に開催された第71回 防衛大学校開校記念祭を取材しました。コロナ禍による4年ぶりの一般公開という特別な回でした。当時2年生だった学生たちが、卒業を迎え、新たな任務へと旅立つと思うと胸がいっぱいになります。
横須賀の高台から、新たな任務へと旅立つ若き幹部自衛官たち。
卒業生の皆さんの門出を心から祝福するとともに、それぞれの任地でのご活躍と、そして平和な未来であることを願っています。

当日のライブ配信は防衛大学校 広報チャンネルをご覧ください。

防衛大学校

神奈川県横須賀市走水1丁目10番20号
電話:046-841-3810(代表)

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